【キャッシュフロー分析】8つのパターンからわかる特徴とは?

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執筆者石原 佑哉
コラムテーマ経理の基礎知識
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キャッシュフロー計算書は、経営分析に取り入れることで、より正確に手元資金を管理することができるツールです。資金ショートを未然に防ぎ、企業の経営改善に向けた早期の取り組みが可能となります。

 

そこで本記事では、キャッシュフローの分析方法や8つのパターンから読みとれる特徴について解説していきます。

【基本】キャッシュフロー(CF)とは

キャッシュフローとは、文字通り現金(キャッシュ)の移動(フロー)を指す言葉です。たとえば、1年間など特定の期間内での現金の出入りを示します。企業の経営において、お金が入ってくることをキャッシュインと呼び、お金が出ていくことをキャッシュアウトと呼ぶため、キャッシュフローは以下の式で説明されます。

 

キャッシュフロー = キャッシュイン(入金) - キャッシュアウト(出金)

キャッシュフローはなぜ必要か

多くの会社は損益計算書を使用して経営状況を把握しますが、キャッシュフロー計算書を活用することで、資金繰りの健全性を確認できます。特に中小企業は資金ショートのリスクを回避するためにキャッシュフロー計算書の作成が重要です。

また、銀行との交渉時には、キャッシュフロー計算書を通じて企業の健全性や将来の計画を説明することができると、資金調達の有利な条件を獲得することができるでしょう。

キャッシュフローの活用方法

キャッシュフローを把握することによって、将来の資金計画を策定できます。例えば、黒字倒産のリスクを避けるために、売掛金の回収スケジュールや借入金返済プランなどを具体的に定めることが可能となります。キャッシュフローの管理は、現金と利益のズレを認識し、事業を安定運営する為に役立ちます。キャッシュフロー計算書を通じて、資金の適切な配分を計画し、健全な成長を促進するためのステップを踏んでいくことが重要です。

キャッシュフロー計算書とは?分析方法とポイント

キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書は、営業活動、投資活動、財務活動の3つのセクションから成り立ち、各セクションでキャッシュの流入と流出を捉え、資金繰りの改善に応用できる情報を提供します。また、貸借対照表や損益計算書とも密接な関連があり、これらを総称して「財務三表」と呼びます。

営業活動によるキャッシュフローの分析

営業キャッシュフローは本業での収支を示すものです。プラスの営業キャッシュフローは、本業でのキャッシュが増加していることを意味します。営業キャッシュフローがマイナスとなると、新規投資や借入金の返済が難しくなります。

持続的なマイナスは業績悪化の兆候であり、最悪の場合、企業倒産につながる可能性があります。

一時的なものかどうかは、損益計算書を確認してみましょう。損益計算書では黒字で売上が増加しているなら、事業拡大のための支出が先行しているだけかもしれません。

投資活動によるキャッシュフローの分析

投資キャッシュフローは、主に設備投資や固定資産の取引など投資活動に伴うキャッシュフローの増減を示しています。典型的な例としては、土地や建物などの不動産、車両や設備などの有形固定資産、そしてシステムなどの無形固定資産が含まれます。

 

新たな固定資産を購入する際には、投資キャッシュフローが減少します。一方、手持ちの固定資産を売却することで現金が流入し、投資キャッシュフローはプラスとなります。

 

固定資産が増える場合には投資キャッシュフローが減少する傾向があり、値はマイナスです。ただし、企業が成長し続けるためには、投資を一切行わないわけにはいきません。企業が適切な成長を遂げるためには、最低限の設備投資が必要です。さらに、営業キャッシュフローを向上させるためにも、投資活動は避けて通れない要素です。

 

そのため、この数値は成長企業ではマイナスになるケースが多いです。

財務活動によるキャッシュフローの分析

財務キャッシュフローは、どのような手段で資金を調達したかが読み取れます。資金不足の際には、借入金で賄ったのか、あるいは社債の発行によって資金を調達したのかが明らかになります。逆に余剰資金があった場合には、その資金が借入金の返済に充てられたのか、それとも配当金として支払われたのかも確認できます。

 

財務キャッシュフローを分析する上で特に重要なのは、借入金の増減です。借入金を増やすことで一時的にキャッシュフローを改善させることは可能ですが、これは持続的な状況ではありません。借入金は返済しなければならず、その際には利息も支払う必要があるため、中長期的にはキャッシュフローが悪化する結果となります。

 

借入金が減少している場合には、支払金利を発生させる有利子負債が減少していることを示し、企業の健全な経営状態を示す一つの指標と言えます。

 

フリーキャッシュフローの分析

フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合算したもので、企業が自由に活用できる現金のことを指します。フリーキャッシュフローが存在することで、借入金の返済や企業内での蓄積である内部留保の増加などが可能となります。

 

フリーキャッシュフローが多いほど、企業の経営は安定し、持続可能な成長が期待されます。このため、キャッシュフローの中でも特に重要な位置を占めています。フリーキャッシュフローを増加させるためには、営業キャッシュフローを増やす取り組みや、投資キャッシュフローを削減する施策を採ることが必要です。

貸借対照表・損益計算書との関係性

財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)はお互いに密接な関係が存在し、それぞれの情報が結びついています。以下で詳しく説明していきます。

貸借対照表との関係性

キャッシュフロー計算書の現金及び現金同等物の期首残高は、前期の貸借対照表の現金及び預金と結びついています。期末の残高は当期の貸借対照表と連動しています。

損益計算書との関係性

キャッシュフロー計算書と損益計算書は、間接法を用いてキャッシュフローを導く際に重要です。間接法では、損益計算書の税引前当期純利益を出発点とし、損益計算書の項目を修正して営業活動によるキャッシュフローを計算します。

 

また、損益計算書における「営業利益」と、キャッシュフロー計算書に表れる「営業活動によるキャッシュフロー」は似た概念ですが、微妙な違いがあります。損益計算書の「営業利益」は特定の会計期間における利益を示す一方、キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」は、同じ期間内での本業からの現金の流れを示します。これは、損益計算書が収益の発生を重視するのに対し、キャッシュフロー計算書は現金の流れを重要視するためです。

 

例えば、営業利益が増加しているにもかかわらず、営業活動によるキャッシュフローが減少している場合、売上債権の回収サイクルに問題がある可能性が考えられます。このように、キャッシュフロー計算書を通じて現金の動きを分析することで、財務状況の洞察が可能となります。

 

8つのパターンからわかるキャッシュフローの分析

ここでは、8つのパターンからわかるキャッシュフローの分析について解説します。「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフローの数字がプラスかマイナスかを見ることで、企業の経営状況を8つのパターンに分類できます。以下で詳しく説明していきます。

安定型

営業CF:+  投資CF:+  財務CF:+

このパターンは、本業で十分に利益が出ているが、資産を売却もしており、資金調達も実施していることからキャッシュが豊富な企業です。

将来大型投資を行うために資金を貯めている企業が採用するパターンと言えます。

改善型

営業CF:+  投資CF:+  財務CF:-

本業ではあまりキャッシュを稼げていないので、資産売却で得た資金を借入金等の返済に回している可能性があります。

不採算事業からの撤退や財務健全化のために採用するパターンと言えます。

積極型

営業CF:+  投資CF:-  財務CF:+

本業の稼ぎだけでは足りない分を金融機関から資金調達をし、積極的に設備投資をしていることが読み取れます。

今後の成長企業になる可能性があります。

健全型(成長企業)

営業CF:+  投資CF:-  財務CF:+

本業で十分に利益を出し、設備投資や借入金返済に当てていることが読み取れます。

堅実的な成長企業だと考えられるでしょう。

勝負型

営業CF:-  投資CF:-  財務CF:+

本業が赤字だが、借入金によって設備投資を行っていることが読み取れます。

事業再建中の企業に多く見られるパターンです。

リストラ型

営業CF:-  投資CF:+  財務CF:-

本業が赤字で、資産売却によって借入金を返済していることが読み取れます。

この状態が続くと、金融機関からの融資が止まる可能性も考えられるため、売却可能な資産があるうちに本業を回復させることが急務と言えるでしょう。

救済型

営業CF:-  投資CF:+  財務CF:+

本業の赤字を資産売却や借入金で賄っている状態です。

銀行の融資姿勢次第では資金繰りに窮す可能性があるため、要注意です。

大幅見直し型

営業CF:-  投資CF:-  財務CF:-

本業が赤字にも関わらず、設備投資を行い借入金返済も行っているため、多額のキャッシュが流出している状態です。

過去の実績はあるが現在は低迷している企業に多いパターンです。

自己資金がある内に本業での儲けを回復できなければ経営が厳しくなる可能性があります。

キャッシュフロー分析を顧問税理士と一緒にできていますか?

本記事では、キャッシュフローの分析方法やキャッシュフローの状況から読み取れる8つのパターンについて解説しました。

 

キャッシュフロー分析の実施に際して、顧問税理士から十分なサポートは受けられていますか?

キャッシュフロー経営に強い税理士に相談することで、企業の財務状況を専門的な視点から分析し、最適な解決策を提案してもらえます。

 

顧問税理士がキャッシュフロー分析に精通していない場合や、適切なアドバイスを受けられていない場合、新たな税理士との契約を検討することも一つの選択肢です。

 

船井総研「税理士セレクション」では、キャッシュフロー経営に精通した税理士はもちろん、幅広いニーズに対応できるハイレベルな税理士をご紹介しております。

 

お気軽にご相談ください。

執筆者 : 石原 佑哉

船井総研に新卒で入社以来、約10年間にわたりHR(組織・人事)領域のコンサルティングに従事。 建設・不動産、自動車販売・整備、整骨院・美容室・エステに代表される労働集約型産業の経験が特に多く、その他でも多岐に渡る業種・ビジネスモデル・企業成長の壁に対して知見を培う。 その後、成長企業において「税理士から提案がない」「充分な決算対策ができずに機会損失をした」「資金繰りが読めずに困っている」「事業承継・相続対策が上手くいかなかった」という税理士レベルのミスマッチによる深刻さに着目し、 税理士セレクション2人目のメンバーとして事業にジョイン。 経営コンサルタントとしての経験も交えたビジネスモデル理解、 中期経営計画(中計)を基に投資判断の整理・優先順位付けに関するアドバイス、 そして「企業および経営者」と「税理士事務所および担当者」の相性まで鑑みた “企業成長を後押しするパートナー選び”を得意としている。